CT 造影で血管を描出してみた
冠動脈でも石灰化を透明化してみたところで、
次はルーティン検査での血管描出です。
実際のところ、ベテラン技師さん向けではなく、さほどの話しでもありません、、
それよりもCT デュアルエナジー(DE)で新しいこと見つけたい!なんて夢みてますが、いろいろ試してみたもののなかなか厳しい。
そこで、DE を使用する前に新しいことではないけれど、ワークステーション(WS )を使いこなして描出技術のパワーアップです。
そもそもDEでなくともWS で描出できてしまうとなると、、うーん。
とりあえず逐次近似再構成も装置に乗っかってるので現在のCT 装置の感触を載せてみました。
まずは腹部造影ルーティンです。それでは行ってみましょー
普通じゃん、と思う方もいると思いますが、肋間動脈やら骨盤領域の動脈がわさわさと出ています。
どうせ時間掛けたんでしょ、と思われがちですが、これは関数の工夫やワークステーションを駆使しています。
ところどころ骨髄を外しきれないところもあって、
むしろ画像として汚いようにみえますが、作業時間は10分かかってないうえに、まぁこんなもんで勘弁してくださいなレベルです。
マニアックな技師さんが作業の効率をはかれば、5分もあればできてしまうのかもしれません。
デュアルエナジーでカルシウム除去のソフトやWS で一発だよと思う方もいるかもしれませんが、実は細かな血管の描出の精度はまちまちで、純粋な骨外しこそ意外に難しいと思っています。
WS のソフトでオートマチックに出すもよし、10分くらいの手間でこれくらいのレベルならそれもまた尚良しではないでしょうか。
元となる画像について関数、分解能の検討やWSのソフトを使い倒した工夫は必要ですv(^_^)
ここまでできれば、あとは必要に応じてVR やら石灰化除去(透明化)を作っていくというわけです。
CT 使い倒したい…まずは石灰化除去?!
石灰化除去のお話です。
再編集篇になります。
単純CT 自体はやることはさほどで、病気を見つけて拡大したり、MPR作ったり、、
造影CT だとやることいっぱいで仕事してる感あります、ということで。というか1人だと忙しいです。
まずは画像です。
冠動脈だけをだす自体、もはやセミオートで描出可能で珍しくもないけれど、、
冠動脈に限らず、MIPとかVRとか実際のところ狭窄はわからないし、見かけ倒しになりがちです。
MIPでの重なりやソフトプラークでは少し判断に迷うことがあると思うので、きちんと血管の選択ができていれば抹消をはっきり描出できるのはVRのいいところだと思います。
デュアルエナジーでカルシウム除去もあるけど、精度、使い勝手がいまいち…
そもそも冠動脈撮影ではデュアルエナジーよりも時間分解能優先で使いません、というか必要ないよね的な、、
血管を一本一本評価するのに石灰化をはずしても、、
むしろ腹部や下肢で石灰化を透明化すれば簡易的な高度狭窄の目星はつけられるのでドクターには喜ばれそうです。
精度気にして画像つくらなきゃならないから少したいへんですけど、慣れるしかないですね。
モデルとしてワークステーションに保存しておけばデフォルトはすぐ作れるので、石灰化ガチガチの場合に重宝します。
画像を出す以上は過小、過大評価に繋がらないよう気を付けましょう。
CT 熱い、、気がする、、
今週はCTの週です。
過去編集になります。
CT装置の導入と共にWSも新しくなってイチから検討し直し中です。
基本的な使い方は昔と変わっていないはず、、なのでできることが増えた感じです。WSもまた奥が深い世界だと感じます。メーカーでもコンテストをしてますから興味深いですね。
CT が今やMRI並みの濃度分解能を持っているかのような画像をつくりだしてる技師さんもいました。
ここ数年で一番驚いたのは四肢の抹消CTAです。もうモダリティとしてゴール決めました的な、、CTも来るとこまできたなと思いました。知識と工夫がすごすぎです。
知ってる技師さんも多いと思いますが、GEさんの2017CTコンテストで賞をとられていました。
ネットでも調べればでてくるはずです。
MRIを扱っている技師さんにもいい刺激になりますね。
たまに技師の仕事の中でAIにとって変わるのはどのあたりかなんて考えながら仕事してます。
AIやらdeep learningなんて言葉もでてきてますから、装置だけでなく、人も効率化を図って次へと進んでいくのは大事ですね。コメデイカルも医療者としてだけでなく、様々な意識が求められているはずです。
話しを戻すと、 装置の導入時もMPRやらスラブMIPくらいコンソール上でオートで出て欲しいと切に思ってましたが、、その時間をWS やら画像をみる時間に当てたいですし、、
一応WSでセミオートでできますが、時短には繋がりませんでした悲
とりあえず撮影とCT画像から所見を探して描出する作業は、この先も放射線技師の仕事です。
未だにWSの基礎的なところの確認しつついろいろ作ってますが、 DEとの組み合わせもありそうですし、まずはきちんと隅々までWSを自由自在に使いこなせるようなりたいものです。
MRI 再収束パルス(リフォーカシング)
今週の3Tはなかなか思うような結果が出せませんでしたが、頚椎の続きで腰椎の調整をしていました。
3Tの設定は基本的には1.5と同じで、聞き飽きた話ですがSARを気にしながらになるので1.5をはるかに越える(?)にはその辺りを克服できるかです。
脊柱管狭窄部位が多いとaxilはどうしてますかね、、3Tはやはり厳しくなります。
SARを下げる方法でよく行うのは180度パルス、リフォーカシングフリップアングル(RFA)をより小さく設定します。通常、小さいRFAはより熱量が低くなります。
これまでさらっと述べてきた再収束パルス、エコーを出すための180度パルスの扱いについてです。
(RFAと書くとRadio Frequencyと混同しがちですが、ここではリフォーカシングフリップアングルの略です)
通常、SEでは90pulse、180pulse、エコー取得ですが、MRIを触り始めた当時、RFA180度とあって、え?180度ってかえられんの?なんて思った記憶があります。
学生さんは90、180が普通かと思いますよね笑
再収束パルス、これ、現場ではいろんな角度を使用してますね。コントラストやSAR(3Tで特に)に影響するところです。
そもそも何をしてるのか、、
倒されて分散を始めた磁化を、反転させてもう一度再収束して分散に向かわせることで、エコーが読み取れるようになります。
この180が小さかったら、、
反転する磁化成分は少なくなるはずです。
さらにこの時、画質への影響はないのか、、あります。
1.5Tと3Tでこのあたりの影響が大きく異なります。
横磁化を作るということで、信号強度に影響しますし、TElongでその影響が大きくなる(?)みたいです。
t2wは横磁化の減少差をコントラストにします。あまりに短いTE ではその影響はわかりずらいです。
自分が経験しているのが流れの影響とペネトレーション効果です。流れは多岐にわたり難しい話ですが、とりあえず流れ(によるdephasing )がなくとも水信号が低下するお話です。
昔3Tの使用経験でペネトレーション効果(深部への到達が鈍くなる?)についてはよく耳にしました。これがハード的に改善されてからの現在の装置なのでありがたい限りですが、ところどころコントラストに影響します。
また有名なのがフローとRFA(リフォーカシングフリップアングル)の関係です。
1.5T で3D収集ですがRFAを40度あたりにして、血栓をきちんとだすのにフローvoidさせるという撮影をしていました。ちなみにSN も落ちます。
lowRFAだとフローの影響をうけやすいということです。
ここで、腰椎5/Sレベルのaxilです。カーソルは無視してください笑
TR3500
TE 100
RFA 130
RESTORE(DRIVE) on
分割あり、interleave 使用
光っている別スライス面あり。
脂肪信号が強く髄液信号が低くなっています。流れ?頚胸椎ならともかくこのレベルではさほどないはずです。
最初はクロストークやTRも考慮しましたが、RFAで改善させました。パルスtypeも検討が必要でしょうか。
さらに3Tあるあるだと思いますが、膀胱の撮影で、これくらいならとTRshortめでTE 100、RFA130で撮影した尿の信号があがってこない箇所がありました。
1.5では経験しなかったことですが、その時はTRlongにしてもかわらずで、股関節の貯留液は十分に信号があがってました。
つまり安易にlow angle は使えません。流れの影響(dephasing )もありつつ、ペネトレーション効果による水成分の信号低下も気にしながらになります。
ここは1.5のほうが扱いやすいですね。SARは画質に全く関係ない話なので、残念ながら枚数や体の大きさによっては3Tのメリットは小さくなりがちです。
とりあえずSARとRFAの関係でこれらを解消する方法は既に出ていて、エコースペースやTRとの関係もあって検討しながらですが、とりあえず対応できています。さすがメーカーさんです。
あとは組み合わせなので技師側の仕事です。フローがあるところないところ、水成分の信号低下に気をつけて組んでいこうと思います。
MRI 頚椎
今週は3Tです。
前回のTOFMRA を頑張って作っているところです。なかなか厳しい、、
扱ってる装置は、調整していくと非常にキレイな画像ができあがりますが、パラメーターの変更は、もともとSE系やgre系などのカードを選んでそこから設定していきます。
例えばgre系をならべてみて比較してみないことには中身の理解できなかったりします。これはこれでたいへんです。
カードの1枚1枚を頭のなかでパルスシーケンスが描けるように頑張るしかないですね、、
ちょっと息抜きして頚椎のお話です。
ルーチンは何を撮影しますかね。
sag、tra、myeloで、必要に応じてt2FFEとかSTIR 、DWIとかでしょうか。
頚椎ルーチンの調整に苦労しました泣
やはり頚部です。甘い設定はすぐ反映されます。感度補正がうまくいかずいろいろなパターンを試してなんとか出来上がってきました。コイルの多ch化によって補正がうまくいかないことが多いですが、とりあえずキレイに撮れています。
1.5Tで感度補正で悩むことはなかったのに、、3T、多chの洗礼をうけました。
頚椎の写真です。
カメラ映りが悪いですが、実際はアーチファクトはでてません。
最初の頃は背部の脂肪信号が光過ぎてフラストレーションが溜まりましたが、t2wの2DTSEで脂肪と髄液のコントラストをうまくコントロールできてきました。
ミエロをキレイにするのはMRCPで述べたようにkspaceの充填です。
とりあえずsingleshotで1.5Tと同様に組んでます。まだ改良は可能だとおもいます。
最初は汚すぎて3dという手も考えましたが、おそらく時間がかかります。
singleshotで無難に加算回数を2回ほど入れれば十分キレイです。
1.5Tで、axial3Dでなんてのも撮ってました。
時短使ってなるべく2Dに劣らないマトリックスを設定していけばC3~C7くらいの範囲で3分半で可能です。少し時間がかかりますが、フローvoidもなくて神経も見えてくるのでおすすめです。3Tではまだルーチンで使える設定を作ってませんが、余裕できたら作っていこうと思ってます。
頚椎といえば、、髄液のフローボイドって気になります。
TSEの限界があるので特にaxialはFFE でって話しですが、FFEも時間かかりますし、、同期する方法もありましたっけ。
髄液は流れが速い人もいるようで厳しいことが多いですが、結構TSEで行けたりしますね。
通常フローコンペンセイションを使いますが、1.5Tの時に 経験した設定でおもしろかったのはフロコンをつかわずにエコースペースを最短にして加算を繰り返すという設定のものでした。
そもそもフローボイドは「対象がスライスを励起する間に流れて無信号」、ってな具合なので、通常のlinear充填ならTEshortめに設定します。髄液を光らせたいからTElongは半分違うと思います。ミエロなどの2dでも3dでもheavyt2ではTEが非常に長く、t2long成分が信号として残ります。
違いはなんでしょうか。いろいろあると思いますが、結局、原理そのものです
スライス厚、励起間隔、流速、k spaceの充填などの設定によってフローボイドがおきる、ということなんでしょう。
とりあえず設定でできることは、shot数が多いとそれだけ流れの影響をうけます。そこでエコースペースを最短にするという方法でエコートレインが短くなるよう努めます。
メーカーによっていろいろだとおもいますが、まぁ探すのがたいへんです。信号も出ないものは出ませんが、やらないよりはいいですね。
頚椎に限らずFSE系のecho spaceを短くするような選択も大事な設定の一つです。
思わぬところでカッチリハマる設定が見つかるかもしれません。
MRI 1.5Tって、、
今週は1.5Tです。
他メーカーの1.5Tは扱ったことが少ないのでよくわかりませんが、使っているのは10年たった、そろそろ部品の製造がおわるらしい、買い替えの頃合い(?)となったP社の装置です。
この装置はパラメーターをイジっていくうえで非常に扱いやすかった印象です。
たま~にバージョンアップをしてきましたが、まだまだ現役です。
数年前のP社の勉強会は非常にレベルが高い印象で、よく通ったものです。マニアックな技師さん達がこぞって新しい撮像を開発していた気がします。
そんな1.5Tですが、息の長いシリーズになるのかな?と考えています。
3Tと比較するとSARの問題が少ない点は扱いやすく、シーケンスや部位によっては画質も引けをとりません。もちろん現役ではっきり言って買い替えがもったいないくらいです。
機器展示でも新しい1.5Tが発表されてました。ここ何年かでコイルにおいてデジタルシステムが普及していきているようです。これによってSNが1.2倍~にアップしていくそうです。
長年培った経験によって1.5Tはシーケンス的に確立されつつあると感じてますし、1.5Tでしか使えない技もあるかと思います。
脂肪抑制をみても1.5Tで優秀だったfsも3Tでは広範囲の使用で扱いにくかったり、t1wやbalancedシーケンスも厳しくなります。聞いた話しでは、心臓のMRAなんかはまだまだみたいです。
おそらく、長年の経験で1.5のほうが特殊な撮影に強く、まだまだ3Tではルーチンを高速で撮像していく使い方が良さそうな印象です。
DIXON法のように多エコーで時間短縮につなげていくのは3Tならではかもしれません。
SARに引っかからない撮像がメインで、マトリックスはほどほどに多エコー取得によって画像の種類を多く、検査時間を短くする方向になっていくのかもしれません。
検査時間が非常に短いような時代がくるんでしょうか、、
CT 嬉しい超高速撮影
CTのプロトコルに関してです。扱っている装置の特徴で、非常に早く撮影できるモードがあります。
珍しくない話しですが、一瞬で撮れてしまう嬉しさってありますね。
ネタがないからこんなありふれた題材、というわけではないです。
DEやWSに悶々と悩む一方で、高速撮影はありがたいなと日々の仕事でよく感じます。
動きによるとり直しの心配がなく、高齢の方にも優しい、画質はトレードオフの関係ですが、速いってだけで、どんとこいってなります笑
患者さんも息止め心配でしょうけど、撮影者側も常に息止めできてるか心配なんですよね。
ブレてました~、、なんてのはいいこと一つもないわけで、やはり高速であるのは正義なんでしょう。
高速撮影モードは、使う場面は限られてきますが、なんだかんだで、普段使いになってくる可能性があるとおもいます。
CTの高速撮影が検出器の多列化によって進んできたなかで、扱ってる装置はかなりキレイに撮れる部類ではと感じています。
心臓の動きや拍動が抑えられたりする理由で、胸部単純ではよく多用してます。スクリーニングでは充分で大丈夫そうということで重宝してます。
新人さんの勘違いで速くとれるから線量が減るというわけでもなく、そもそも息止めの時間を決めて、ピッチや回転時間と他設定していけば、線量を決めて低被曝に努めることができます。
極当たり前ですが、全ての検査で高速撮影が第一選択にはなりません。
軟部条件で拡大すれば相応の画質です、、
それでも、実際、高速撮影を胸部造影で使ったらしいデータがあったので試しにMIPを作ってみましたが、そこそこの画質がつくれました。
造影のコントラストではなかなかの精度を叩き出してくれました。
この場合、線量的にも部位が胸部という点が幸いしていたと思われます。
この技術、改めてすごいなと感じました。
体厚や拡大再構成要する精査では厳しくなりますが、驚異の撮影スピードは撮影する側にとっても安心で、CTAで使うなら造影剤量も減らせます。
プロトコルもたいして検討できていませんが、いろいろ工夫できそうです。