とある放射線技師のお仕事blog

CTやらMRIを操作して気づいたことを綴っていきます。 放射線技師はアイデアで勝負?!

MRI 再収束パルス(リフォーカシング)

 今週の3Tはなかなか思うような結果が出せませんでしたが、頚椎の続きで腰椎の調整をしていました。

 

3Tの設定は基本的には1.5と同じで、聞き飽きた話ですがSARを気にしながらになるので1.5をはるかに越える(?)にはその辺りを克服できるかです。

脊柱管狭窄部位が多いとaxilはどうしてますかね、、3Tはやはり厳しくなります。

 

SARを下げる方法でよく行うのは180度パルス、リフォーカシングフリップアングル(RFA)をより小さく設定します。通常、小さいRFAはより熱量が低くなります。

 これまでさらっと述べてきた再収束パルス、エコーを出すための180度パルスの扱いについてです。

(RFAと書くとRadio Frequencyと混同しがちですが、ここではリフォーカシングフリップアングルの略です)

 

通常、SEでは90pulse、180pulse、エコー取得ですが、MRIを触り始めた当時、RFA180度とあって、え?180度ってかえられんの?なんて思った記憶があります。

学生さんは90、180が普通かと思いますよね笑

 

再収束パルス、これ、現場ではいろんな角度を使用してますね。コントラストやSAR(3Tで特に)に影響するところです。

 

そもそも何をしてるのか、、

倒されて分散を始めた磁化を、反転させてもう一度再収束して分散に向かわせることで、エコーが読み取れるようになります。

 

この180が小さかったら、、

反転する磁化成分は少なくなるはずです。

さらにこの時、画質への影響はないのか、、あります。

 

1.5Tと3Tでこのあたりの影響が大きく異なります。

 

横磁化を作るということで、信号強度に影響しますし、TElongでその影響が大きくなる(?)みたいです。

t2wは横磁化の減少差をコントラストにします。あまりに短いTE ではその影響はわかりずらいです。

 

自分が経験しているのが流れの影響とペネトレーション効果です。流れは多岐にわたり難しい話ですが、とりあえず流れ(によるdephasing )がなくとも水信号が低下するお話です。

 

昔3Tの使用経験でペネトレーション効果(深部への到達が鈍くなる?)についてはよく耳にしました。これがハード的に改善されてからの現在の装置なのでありがたい限りですが、ところどころコントラストに影響します。

 

また有名なのがフローとRFA(リフォーカシングフリップアングル)の関係です。

 

1.5T で3D収集ですがRFAを40度あたりにして、血栓をきちんとだすのにフローvoidさせるという撮影をしていました。ちなみにSN も落ちます。

lowRFAだとフローの影響をうけやすいということです。

 

 

ここで、腰椎5/Sレベルのaxilです。カーソルは無視してください笑

 
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TR3500

TE 100

RFA 130

RESTORE(DRIVE) on 

分割あり、interleave 使用

光っている別スライス面あり。

 

脂肪信号が強く髄液信号が低くなっています。流れ?頚胸椎ならともかくこのレベルではさほどないはずです。

 

最初はクロストークやTRも考慮しましたが、RFAで改善させました。パルスtypeも検討が必要でしょうか。

 

さらに3Tあるあるだと思いますが、膀胱の撮影で、これくらいならとTRshortめでTE 100、RFA130で撮影した尿の信号があがってこない箇所がありました。

1.5では経験しなかったことですが、その時はTRlongにしてもかわらずで、股関節の貯留液は十分に信号があがってました。

 

つまり安易にlow angle は使えません。流れの影響(dephasing )もありつつ、ペネトレーション効果による水成分の信号低下も気にしながらになります。

 

 

ここは1.5のほうが扱いやすいですね。SARは画質に全く関係ない話なので、残念ながら枚数や体の大きさによっては3Tのメリットは小さくなりがちです。

 

とりあえずSARとRFAの関係でこれらを解消する方法は既に出ていて、エコースペースやTRとの関係もあって検討しながらですが、とりあえず対応できています。さすがメーカーさんです。

 

あとは組み合わせなので技師側の仕事です。フローがあるところないところ、水成分の信号低下に気をつけて組んでいこうと思います。