とある放射線技師のお仕事blog

CTやらMRIを操作して気づいたことを綴っていきます。 放射線技師はアイデアで勝負?!

MRI プロトコルを作ろう 基礎編

(過去の編集です。)

最近やっと3Tのコントラストをコントロールできるようになってきました。

 
1.5では多岐にわたりパラメーターを駆使して撮像していましたが、、

触ったことある人ならわかると思うけど、
3TだとSAR(Specific Absorption Rate)モニターという機構が、体温上昇の予測から、その設定の連続的なRFパルスの照射による神経刺激やら熱吸収が危ないよーと設定の変更を促してきます。
1.5とちがうのは、気をぬくとすぐに設定変更の表示がでて、1検査で2分くらいのロスを出す可能性があります。
 
この問題は「広さ」にたいして、たいていあてはまるもので、身体が大きい、枚数を増やして撮像、画質を下げずFOV広くしたり、当然分解能をあげて信号量を多くしようとすれば基準に引っかかりやすくなります。
 
そしてそのSARを減らすために簡単にいえば画質おとせ、枚数的な範囲を狭くしろだのTRを伸ばして時間をかけてパルス間隔をあけて撮影しろと言ってくる。
3T用いて画質をキレイにしたいのに、SAR の問題で結局は撮像時間を伸ばすしかない。いやいや、だったら1.5でいいじゃんとなるよね。
つまりは高磁場MRIが本領発揮するのはSARの問題をクリアしてる時で、狭い範囲での撮像や分解能落とした高速撮像に最適のよう。撮像時間かけて1.5と同じような画質ならそもそもコスパ悪すぎだよね。
しかも1.5で使えてたシーケンスや技が3Tで使えないこともざらだし、SNが倍ならアーチファクトも倍だから、、SARに限っては4倍だし笑
感度補正だってビミョーだし、愚痴しかでてこない笑
(本音は3T好きだけど笑)
 
まぁ広範囲のオーダーされるとちょっと嫌、、
前おき長くなりましたが、
腰椎t2wの設定です。
結構キレイだと思いますm(_ _)m
3T(SAR)   vs   1.5Tですが、3Tですね。
当たり前ですね。
設定はだいたいですが、、こんな感じです。

                          1.5T                   3T
撮影時間  2min30s         1min35s
厚                 3.5 mm             3mm
MatrixP×F              1.0×0.6   mm( actual )
TR                     2000                2500
TE                            90              87
 
3Tでも背部の皮下脂肪の信号が比較的落ち着いて髄液をきちんと光らせて見易い画像になってきています。
TR TEが比較的短いですが、特に3Tではこのような設定が生きてきます。
 
解ってる人には基礎ですが、新人さんにとって入門となるところでしょうか、package、concatenation 、(GEさんはなんでしたっけ?!)等といわれるこのパラメーターがポイントです。
 
復習ですが、
1スライスは位相エンコードの数だけ信号を取得し、つまりはTRをその数繰り返して出来上がります。
そしてまた別スライスは影響のないよう前のスライスのTRが終わる前に重ならないように90、180パルスを打って信号取得をしてしまうことが可能です。長いTRなら最初のスライスの1TR のうちに次々と全スライスの90、180、を打ってしまうことができるのです。(マルチスライス)
わからない人は長~いTRでシーケンスを書いてみましょう。

ここで話しを戻すとpackagesは全スライス数を分割するかどうかです。package1であれば分割せずに1TRの中に全スライスの90パルス、180パルスを重ならないようにいれてしまおうというものです。
Package2であれば1TRの中に半スライス数の90、180を打って信号取得をしていき、もう半分は後で同じように行うということです。
つまりスライス枚数が20枚であるとするならPackage1は長いTRをもって1TR内に20回の励起、package2であればより短いTR にして10枚、10枚にわけて撮像が可能ということです。つまり最小TR で2つとも撮像時間は同じです。
 
本題はここからです。
Packageは全スライスを一つ飛ばしで分割することもできます。これにより、スライス同士隣接する影響を気にせず狭いバンド幅(SN↑重視)の選択を可能にしたり、スライスの角度によって交わる部分の信号欠損を防いだり、そしてスライス面あたりの飽和効果を防いで、t2wなんかでは水成分の信号を強くすることができます。
 
t2wで水成分の信号を強めにだしたい!となると、TE 大きくとか、flow comp.とかDRIVEとか考えますが、TR short と併用して大きく恩恵を得ることができます。
 
「分割」からTR、TEのおとしどころをきめていきましょう。
TR shortにするとき気をつけるべきことはSNもありますがやはりコントラストでflowvoidも起こりやすくなります。
 
一方で3Tにおいてはとくに脂肪信号が強すぎるため、部位やコイルによってはこのような設定は必須ではないかと感じています。
分割なしもまた、メリットはありますがとりあえず。

分割からのTRshort は、回復が速すぎる脂肪の縦磁化を相対的に小さくするのか、はたまた、分割による飽和効果の減少が相対的に水信号を強くしているのか、パラメーターの変更による影響が大きくなります。
これはt1でも生きてくるようです。

 
基礎編といいつついろいろ書いてしまいましたが、
分割は、先に書いたとおり、撮像の重なりによる信号欠損を防げるということです。
腰椎で重なってしまう撮影といえば、、
工夫してみましょう。


追加
書き忘れました。
SAR 対策としてphase FOV 約200%を利用し、長方形FOV としてだしています。
どれくらい違うか調べてませんが、ややSARに引っ掛かりにくいようです。